こんにちは!エコモビリティ北海道代表の小川です。
本日は、スニーカーブームの大きな波が過ぎ、成熟に向かってるのではないかという話です。あくまでコレクター目線での見解になりますので誇張表現などご容赦ください。
そんなことに気づいたのは、最近エアージョーダンを箱から出して眺めていた時でした。
2024年11月3日Air Jordan 1 Retro High OG “Black Toe” 通称”つま黒”のリイマジンド(再創造)モデルが待望の”黒タン”仕様で発売されました。東京の一部店舗では1,000人程が並び、多くの消費者に行き渡った模様です。
東京や大阪の一部店舗のみの販売のためまだ実物が見れておりません。
2014年~2022年くらいまで続いた第二次スニーカーブームが衰退を迎えたという記事を以前に書かせていただきました。その理由に「数を出しすぎたこと」と、追い打ちをかけた「物価高」の影響があると述べました。これは紛れもない事実ですが、他の理由を考察した時、今から2年前の2022年11月19日Nike Air Jordan1 High OG “Lost & Found”の発売が大きな転機になったと考えることもできます。スニーカーヘッズと呼ばれる愛好家たちが絶頂を味わったAir Jordan1たちとその王者であるChicagoカラーについてみていきましょう!
スニーカー(バッシュ)の王者といえばジョーダン1というのは、スニーカー好きならなんとなく認識していることですね。
2015年~2018年にかけてナイキは極少量のオリジナルカラーを連発するのですが、多くの消費者(愛好家)の手には届きませんでした。”遠くの彼女より近くの友達”を選んだ消費者は、ジョーダン1ラッシュに沸く市場に足繁く通い、赤がなければ青、それもなければ灰、さらに「Retro High OG」(OG=ORIGINALの略)を冠した別カラーやブロック配置が異なる似たようなモデルを買い漁った。争奪戦の末、購入に届かない消費者はミッドカット、さらには全く別物であるローを選択することになります。
1990年代半ばに人気バスケ漫画の主人公が作中で履くこととなったカラー。後にBred(Black×Red)と呼ばれる黒赤カラー。漫画やアニメの熱狂とは裏腹に、市場に出回る数が少なく手の届かないバッシュとして君臨していました。ただ、1985年のオリジナル以降、1994年、2001年、2013年にも復刻されています。そして、2016年に”禁じられた”の意味を持つ通称”Banned”(バン?バンド?バーンド?)と呼ばれる1985年当時のストーリーを前面押しした、シボ感のあるシュリンクレザーのブレッドが発売。これがブレッド最新のOG仕様モデルとなっていいて、8年経った現在も伝説的なモデルとして位置付けられています。このように、何度も復刻を果たしていますが、人気のあまり未だ手にしていない人も多く復刻を心待ちにしている人も多いことでしょう。
Bannedの熱狂冷めやらぬ中、いつしか私たちに刷り込まれていったのがシカゴカラーの存在でした。時のスニーカー系YouTuberたちも「スニーカー界の神はシカゴ!」と解説しています。
何かおかしい…発売から約30年、海外の事情は置いておいて、日本におけるスニーカー(バッシュ)の頂点は紛れもなくジョーダン1の黒赤カラーじゃなかったっけ…??白黒赤カラーは1994年以来、パテント素材や、シュータンや踵がジャンプマン、AJKOや1と2のハイブリッドモデルなどを除いて、2015年に初めてのOG仕様で復刻されています。象徴的なカラーで、ある店舗では発売日に1,000人並んだ超人気モデルではありましたが、恐らく2番手か3番手(ロイヤルがシカゴの上をいくランキング本もあり)と、当時(2016,2017年あたり)は思っていました。
黒赤と同じくマイケル・ジョーダンが実際に試合で履いていた白黒赤のシカゴカラーが、突如として最も高嶺の花であり、最も手の届かないスニーカーとして我々の思考に植え付けられました。これが最高潮に達したブレッド高揚後のマーケティング術だったのかもしれません。
~SOSHI Net~【New Kicks/スニーカー】NIKE AIR JORDAN 1 RETRO HIGH OG “CHICAGO”(ナイキ エアジョーダン 1 レトロ ハイ OG “シカゴ”)
ナイキはOGシカゴで市場を煽り、シカゴに「似て非なるもの」を何度も発売してきました。
2015年Jordan 1.5 Retro High “The Retern”に始まり、2017年Jordan 1 Retro High The Ten”Off-White Chicago”、2018年Jordan 1 Retro High OG “Spiderman Origin Story”、2019年Nike SB Jordan 1 Retro High OG “LA to Chicago”もそうでしょうか。さらにJordan 1 MidやNike SB Dunk Low “Chicago”などのLowカットモデルも然りであります。
これらシカゴに似て非なるものは瞬く間に完売し、極少販売の結果、現在も希少性を保っています。
ナイキは神と位置付けたOGシカゴを市場に大量投入すればブームの希薄化に繋がると分かっていたのだろうか。
消費者が求める傾向はオリジナルにより忠実であり、正当で明確なストーリーがあるモデルであること。長年の知恵でわかってきました。自らもオリジナル仕様のジョーダン以外はあまり所持していません。それはマイケル・ジョーダンとスニーカーというストーリーを重視しているからです。つまり基準は85年オリジナルで、復刻モデルはオリジナルに近ければ近いほど優位性が高いという構図になります。
2022年にAir Jordan 1 “Chicago”がOG仕様で復刻されるというニュースはかなり前から話題を集めました。噂で終わると思いきや、SNKRSアプリでは条件付き限定リリースを告知するなど煽りに煽った結果、市場には大量のシカゴが投入されることとなります。
この”Lost & Found”というモデル。実際に手に取ってみると、コレクター心をくすぐるビンテージ仕様で、シューズ全体には長期保管した前提で作られたひび割れや色褪せ加工がいくつも見られます。”遺失物”の呼び名からもわかる通り古い倉庫で長年放置されたような箱や取り違えられた蓋をイメージし、売れ残りの象徴であるSaleシールも貼られています。調べた方のレビューによるとロゴやパーツの大きさなども2015年OGに比べて85年オリジナルに近い作りになっているということです。これも先に述べた「似て非なるもの」という考えもありますが…不思議と出会ったことのない85年オリジナルを見ているように感じるのです。
冒頭で述べた、スニーカーの箱を久しぶりに開けた時に感じたのは、未使用で保管していても経年の黄ばみやプラパーツの劣化などが見られ、スニーカーは色褪せない永遠のコレクションにはならないということでした。Off-Whiteコラボモデルなどは特にパーツの黄ばみが目立ち、とても悲しい気持ちになりました。
しかし、”Lost & Found”のふたを開いた私は、約40年経ったスニーカーを「Reimagined=再創造」により、ベストの状態で保管している。という錯覚にとらわれました。初めから劣化表現していることが逆説的な意味で将来保管の安心感を生み出します。今後、OG仕様で復刻されても、正当性やストーリー性の観点で85年オリジナルに勝ることはできません。「ならこれが今そして未来に存在するだろうAir Jordan 1 “Chicago”の中で最高のスニーカー!?」
と不覚にも気づいてしまったのです。「キングオブスニーカーであるオリジナルジョーダン1シカゴのサラピンを手に入れてしまった!」と錯覚するのでした。思いが私と同じであれば、人々はスニーカー(とりわけジョーダン1)を追い求めるのをやめてしまうきっかけになったのではないでしょうか。
ジョーダン3も同じ原理です、2023年5月Nike Air Jordan 3 Retro “White Cement Reimagined”が上記シカゴと同じ仕様で発売されました。ホワイトセメントは88(エイティーエイト)と巷では呼ばれ、1988年NBAオールスターのダンクコンテストでマイケル・ジョーダンがフリースローラインからダンクを決め、優勝したエピソードが残る3の中でも屈指の人気を誇るオリジナルカラーです。1988年オリジナルが新品デッドストック、見た目以外経年劣化ほぼゼロで箱もタグも完品となればこれに勝るものはないと思って購入しました。唯一付属のキーホルダーがオリジナルに忠実かどうかは不明です…
このように最近見られる”Reimagined”の構築により、「Air Jordan」の各モデルが普遍のものになり、結果的にジョーダンに限って言えば、成熟期に突入したと考えるのは私だけでしょうか?
「いやいや、リイマジンドは邪道。1985年オリジナルや2015年シカゴOGがキングオブスニーカーだよ。これからもっと沢山オリジナルに近いモデルが発売されるだろう」という意見もたくさんあると思います。
2022年2月に発売されたNike Air Jordan 1 High 85 “George Town”がウィングロゴではなく”HOYAS”が刻まれていれば普遍のコレクションだっただろうな…と思うこの頃です。